姫路市平和資料館

2007年9月26日訪問

 姫路市内の手柄山の山上に、姫路市平和資料館はある。

 手柄山には、太平洋戦全国戦災都市空爆死没者慰霊塔がそびえている。
 これは、戦災復興を主たる目的として結成された全国戦災都市連盟の事業として、1956年に建設されたものである。
 塔のデザインは、剣を大地に突き刺して、矛を収めた平和を表しているといわれている。塔の前面には巨大な日本地図のレリーフがあり、113の戦災都市が円い石で表示されている。

          

 慰霊塔を取り囲むかたちで側柱が並ぶ。これには1本に1都市ずつ、各戦災都市の空襲日時や死没者数などのデータが刻まれている。

          

 ここは第2次大戦の特徴でもある、都市への無差別爆撃の犠牲者への慰霊のゾーンになっている。

 この慰霊塔に隣接して、姫路市平和資料館は建設された。姫路が全国戦災都市連盟の本部であることもあり、この資料館は空襲被害が中心の展示になっている。

          

 姫路といえば世界遺産に指定された姫路城が有名であるが、この資料館の展示も、姫路城を座標軸として展開している。
 「美しい城下町・姫路」で戦前から戦争へ歩むようすを、「覆われた姫路城」で戦時体制下のようすを、「炎の中の姫路城」で姫路空襲のようすを、そして、「よみがえる姫路城」で戦後の復興を、それぞれコーナーのテーマとして展示している。

          

 各コーナーとも、写真や復刻資料、再現模型を駆使して、わかりやすい展示をしている。また、常に庶民の生活に視点を当てた展示になっている。
 空襲の展示のコーナーでは、当時の民家や防空壕が再現されたジオラマが設定され、空襲の疑似体験ができるようになっている。

          

 空襲体験を語るナレーション、サイレンや爆音などの効果音、映像と光の交錯、振動を再現する装置で、からだごと疑似体験ができるようにくふうされている。
 ここまでは姫路の地域の戦争史が中心だが、ここには全国の都市空襲被害の電光パネルが設置されている。原爆にも言及され、原子放射能症の権威で姫路出身の都築正男博士のコーナーもある。
 出口近くには、「平和を祈って」というコーナーがあり、姫路の子どもたちの作品が展示されている。体験の継承、平和学習の成果発表の場として活用されている。

          

 常設展示室のほかに、多目的展示室があり、企画展が活発に開かれている。
 また、AVコーナーでは地域の戦災に関するビデオの視聴ができ、図書室には平和をテーマにした児童図書もそろっている。

          

 この図書室には、特に各自治体から寄贈された各地の都市空襲に関する資料が充実している。また、全国戦災都市連盟加入の各都市の協力を得て編集した「平和の祈り 一般戦災慰霊の記録」という冊子を所蔵している。これには各都市の戦争被害のデータや写真が掲載され、貴重な資料となっている。

          

 姫路市平和資料館は、被害面中心ではあるが、都市空襲の被害、市民の生活という視点が明確な資料館である。疑似体験装置や学習発表の場など、子どもたちの平和学習にもよく配慮されている。




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